呼吸と瞑想のボディワーク ボディメディテーション

 

〜チューニングメソッド(tuning method)〜





生体リズムの調整、さらにそれを感じるということ‥

 

心身の症状の中には、社会的環境的要因による思考のパターンや思い込みが症状を引き起こしているものもあります。

特に摂食障害など、依存傾向の強い症状の場合は、実際に感じている感覚とその感覚との認識には大きなずれがあり、独特の思い込みや信念は、身体で感じる感覚自体を変化させ、健全である生体リズムを阻害してしまうのです。

 

そのような傾向の症状を持つ方には、”身体を感じる””身体に意識を向ける”ということが、大変重要な意味を持ってきます。

 

 

 

内受容感覚‥ こころと関わりの深い、内側から身体を感じるセンサー

 

内受容感覚とは、お腹が空いた、胃が痛いなどの内臓感覚、暖かい冷たいなどの温度感覚、血液ほか体液循環の感覚など、 ふだんはあまり気づかない繊細なものもふくめ、身体が健康を保つために維持している身体感覚の一つです。

 その全貌はまだ未知の分野で、なんとなくざわついた感じや”虫の知らせ”など、昔から人がなにか判断をしたり、察知するのに用いていた不思議な感覚も、広くはこの感覚の一部とする研究者もいます。

 

この内受容感覚が、実は身体と意識、こころとの関係を結ぶ重要な身体感覚として、昨今注目を集めているのです。

 

心理学者マイケル・クリチュリー博士の”身体の感覚を感じている時に脳のどの部分が反応しているのか”という神経基盤の研究に基づいた慶應義塾大学心理学部の身体感覚と感情経験の実験では、

 

”今”身体に感じている感覚を感じている時と”今”起きている感情に意識を向けている時、脳の神経基盤の同じ部分が活動している(下記図:島皮質) という結果が得られました。

 

 

 

 

 

 

 

身体の内部に対する気づきが自律神経の迷走神経機能を活性化し、ホメオスタシス(身体の状態を一定に保つ働き)の維持、向上に深く関わっていることが、心身医療また精神医学の分野で解明されつつあるのです。

 

このことは、

 

身体の感覚に意識をむけ、状態が和らいでいくプロセスに気づくことで、いままで辛く、意識を向けにくかった感情や不調をもたらす心理的要因にも変化をもたらすことができる

 

ということを意味しています。

 

もちろん、感情と身体の感覚とはイコールではなく、そのメカニズムは一定ではありません。常に思考からの命令で身体を動かし続けている私たちは、身体の内側で感じる感覚の曖昧さ、繊細さから、自分の身体の感覚を思い込み、今までの経験による意味づけ、あるいは環境やその感覚を感じている時の状況によって書き換えてしまうこともしばしばあります。これらは時に深刻な症状を引き起こすのです。

 

チューニングメソッドでは、辛い体験や感情、問題自体を掘り起こしたり、直視することなく、身体の症状緩和によって、

関連する感情や背景にある問題の根源を同時に解消する、そのプロセスを大切にしています。